進歩くんに引きずられて始めた「サークル妖精館」ですが、
4年目辺りで、アニメージュに紹介が掲載されました。
アニメージュといえば、メジャーなアニメ雑誌ということで、問い合わせのお便りが進歩くんの家に殺到しました。
これは想像ですけど、恐らくこの余りに多い問い合わせに、進歩くんが応えきれなくなったのだと思います。
いつの間にか、問い合わせのお便りの対応は全て私が行う事になっていました。
作品を作ったり、会誌を作ったりする事には一所懸命になれなかった私ですが、
見ず知らずの人々から寄せられる問い合わせ対応や、お便りに対応する事は、不思議と楽しく行う事ができました。
私の対応が良かったのか、アニメージュの読者との相性が良かったのか、
会員さんがこの時期一気に60人ぐらいまで増えました。30人から60人ですから、倍増という事になります。
会員さんが増えると、当然会誌の内容も活気付きます。
僕達3人が、あたかも「サークル」が有る様に振る舞ってようやく成り立っていた「サークル妖精館」が、まるで本当にそういうサークルが有る様に、実体らしきものを感じられる様になってきました。
この不思議な感覚は、なかなか言葉で表せないものです。
この時期から、私は自分からサークルに力を注ぐ様になりました。
この時期に、Sさんという男性の会員さんが入会してきました。
彼は、ギャグマンガを得意とし、本人のキャラクターも陽気な人でした。
作品の中にやや下品(と言っても大した事はなかったと思う)な表現があり、
進歩くんはその辺りを気に入らなかったみたいだったのですが、
私は、自由陽気なSさんを気に入って、進歩くんをなだめたりしました。
そんなある日、事件が起こりました。。。
事件の詳細を書くのはこのお話の趣旨ではないので、できる限り簡単に書くと、
北海道の会員さんへのセクハラ(当時はそういう言葉は無かったですが。)
数人の女性会員さんへ長電話をかけてくる。
そういう苦情が、殺到しました。
スタッフ(進歩くん、洵くん、Tさん、私)はビックリ仰天しました。
急ぎ、Sくんを呼んで事情聴取をし、本人はそんなつもりが無かったと言うので一旦それを信じ、例えそうであっても苦情が来ているんだから、行動に気をつける様に注意しました。
その時は本人も神妙にしていたのですが、その翌週辺りに、
今度は大阪方面の女性会員さんへのセクハラ、複数の会員さんへの長電話の苦情などがスタッフへ飛び込んできました。
また、北海道の会員さん(セクハラされた人)への非難文を書いた手紙を、会員さんへバラマキまいている事が、会員さん経由でスタッフに知らされました。
サークル妖精館の当時の男女構成は女性7、男性3でした。
スタッフは偶然全員男性でしたが、今回の「事件」を(男性スタッフが)見過ごしてしまうと(女性の多い)会の崩壊を招く恐れがあると考えました。
再び、スタッフ全員が集まって、どうすれば良いのか考えました。
私達は、長い時間 話し合って、こんな結論を出しました。
・Sさんは「永久退会処分」とし、それを会員さんへ公示する。
(この処分は厳しいが、警告を無視した結果なのでやむを得ない)
・「公示」には理由を明記しないが、どうしても理由を知りたい人は連絡してもらい、個別に説明する旨を書く。
・これは、スタッフがこのサークルをどういう風にしたいのかを会員さんへ示す機会になるので、利用させてもらう。
・そうする事で、サークルの方向性がハッキリするし、(我々が正しければ)会員さんに安心してもらう事ができる筈。
私はSくんに電話で会議の結果を伝えました。
彼は色々弁明した様な気がしますが、私は冷たく「決定事項だから」と言いました。
あれ以来、彼と連絡を取っていません。。。
私達の決定は、どうやら会員さん達に受け入れられた様で、
会の結束が乱れる事もなく、むしろ前よりもスタッフへの信頼が高まった様な、
そんな結果になりました。
これまで、何となく「仲良し集団」だった 「サークル妖精館」は、
この時期から、スタッフの意思で「運営」されるサークルへと変わって行きました。
そしてそれは、「ただ良い本を創る」事に興味が有った進歩くんの時代から、
「組織を創る」事自体に興味が有った shobuno の時代への移り変わりでもあったのでした。
あの決定は正しかったのか。。。?
今でも時々考えます。
今でも引っかかるということは、
多分あれは、個人的な行動としては正しくなかったんだろうと思います。
あれは、「正義の行使」ではなく、「組織としての決断」だったのでしょう。
そう、あれは正義ではなかった。
そう考えると、ちょっと安心できます。。。