shobuno's blog

shobunoの日記です。日々見たこと、考えたこと、思い出した事などを興味の向くまま書いていきます。

Newton Messagepad をご存知ですか?

 Appleスティーブ・ジョブズが亡くなって一年が過ぎ、

巷では、彼の果たした偉大な仕事について振り返ったり、

スティーブ・ジョブズ亡き後のアップルの将来は。。。?」

などと色々噂されておりますが、

Appleという会社が何者なのか、全く理解されていないなぁと思います。。。

 

 スティーブ・ジョブズが、Appleから追い出されていた時期に

世界初のPDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)が、

ひっそりと、Appleから誕生しました。

 

先ずはビデオを。。。

Apple Newton Getting Started

 

えっ? 何これ? 今度新しく発売されるというウワサの iPad mini ??

 

みたいな声が聞こえてきそうな製品ですが。。。

1993年に発売された製品のCMビデオなのです。

ニュートン」と言います。

ニュートンは、持ち歩く事が出来なかったパーソナルコンピュータに代わって、

常に携帯されて、こまごまと人のサポートをする事を目的としたコンピュータでした。

 

主な機能は

メールの送受信

Fax送受信

スケジュール管理

メモ

ワードプロセッサ

電子書籍の閲覧

お絵かき

ゲーム

 

と、今のiPhoneiPadと遜色の無い様な機能盛りだくさんの機械でした。

ニュートンの特徴は、その使いやすいインタフェースにありました。

スタイラスペンを使った操作は非常に直感的でした。

スクリーンに手書きで文字を書き込むと、すぐにそれが活字になったり、

図形を描くと、キレイな図形に変換されたり、

「◯◯さんに電話」と書くと、電話が発信されたり、

「◯◯さんと昼食」と書くと、スケジューラに登録されたりしました。

文字を間違えたとき、グチャグチャと線を引くとその部分が

「ドカン!」というアニメーションと共に消去されたりしました。

 

実はこのニュートンの最終版を私は持っているのですけど、

本当に使いやすくて面白くて、数年の間使い続けていました。

 

 この素晴らしかったニュートンですが、初期製品の性能がイマイチだったこと、

(まあ、当時の非力なコンピュータにはちょっと荷が重すぎました)

とても高価だったこと、当時のアップルが倒産寸前だったこともあって、

スティーブ・ジョブズがアップルに戻ってきた時に、

真っ先にトドメを刺されてしまいました。。。(涙)

 

 しかしながらこのニュートンの技術は、姿を変えて、

iPodや、iPhoneiPadが生まれる為の基礎になっているんです。

早すぎたコンセプトのコンピュータ、それがニュートンでした。

 

 Appleはどうしてニュートンを作ったのでしょう?

ニュートンプロジェクトの生みの親、ジョン・スカリーによる

有名なコンセプトビデオがあります。


アップル「ナレッジナビゲーター(Knowledge Navigator)」日本語吹替版

 

何か思い出しませんか?

そう、Siri に良く似ていますね。。。

Appleは、スティーブ・ジョブズが居る居ないに関係なく、

一貫してこういうモノを目指している様な気がします。

 

それは、

「コンピュータ技術を使って人間を豊かにする何かを作る」

事だと思います。

 

Apple

 初めて一般向けのコンピュータ(Apple II)を作りました。

 初めて一般向けのGuiを駆使したコンピュータ(Macintoth)を作りました。

 初めてフロッピーディスクをコンピュータに搭載しました。

 そして、最初にそれを搭載するのを止めました。

 初めてコンピュータにCDを搭載しました。

 そして、最初にそれを搭載するのを止めました。

 一般向けのマウスを作りました。

 初めてマウスに変わるトラックパッドを実用化しました。

 初めてPDAを作りました。

 初めて合法的なオンラインの音楽ストアを作りました。

 大ヒットした音楽プレーヤーを作りました。

 携帯電話を「再発明」しました。

 iPadを作りました。

 

AppleiPodを出した時、私は

「どうして、本業じゃない事に力を入れるんだろう?」

と思ったものでしたが、アップルのコンセプトを意識すると、

彼らの意図が良く分かる様な気がします。

 

iPhone発表の後に、Appleは社名をApple Computer inc から、

ただのApple inc に改めましたが、これは

「ウチはただのパソコンメーカーじゃないんだぞ」

という明確な意思表示だったのだと思います。

 

スティーブ・ジョブズは偉大な人だったと思いますが、

Appleの一部に過ぎません。

Appleが、そのコンセプトを持ち続ける限り、

きっと、イノベーションを起こし続ける事が出来るんじゃないかと思います。

 

iPhoneをいじりながら、次は何をするんだろうと想像します。。。

「Siri」は、今はあまり性能が良くなく、オマケみたいな扱いにされていますけど。。。

案外、コレが次の時代のキーテクノロジーになるんじゃないかと妄想しています。

 

ナレッジナビゲーターの時代は、実はすぐそこまで迫ってきているのかも知れませんよ。