今朝の日の出。。。キレイな空。
中学生になる位まで、毎年夏休みになると、
当時、板葺きの古い大きな家でした。
玄関があって、土間があって、上がると大きな畳の部屋が幾つもあって、
奥にはまた、土間があって土を盛ったような大きなカマドが有って、
お風呂は五右衛門風呂で、木の板の上に乗りながら浸かりました。
柱は黒く煤けていました。
おじいちゃん、おぼあちゃん、お母さんの弟、ひいおばあさん(おわわ)、
良くわからないおばさん達が、出たり入ったりして。。。
子供心に、この家には一体何人の人が住んでいるのか、
良くわからない感じでした。。。(笑)
家族に、おテルさんというおばさんがいました。
とても優しくて面白いおばさんでした。
大人達が、田んぼに出かけて留守の間、良く遊んでくれました。
一緒にかくれんぼしたり、トランプをしたり、
川で遊んだり、お話をしたり、
買い物へ行ったり。。。
一日中飽きもせずに一緒に過ごしてくれました。
小さい頃の私は、じっとしているのが大嫌いで、
いつも何かをしていないと我慢できない子供だったので、
付き合うのはさぞ大変だったろうと思います。。。(苦笑)
本当に私とおテルさんは、いつも一緒の友達みたいに、
大の 仲良しでした。
小学校低学年のころ。。。
いつもの様に、おテルさんと遊んでました。
何をしていたのか、良く覚えていないのですが、
私はおテルさんに、
「この本の、ここを読んでよ!」
と言いました。
おテルさんは、ちょっと困った様な表情を浮かべて何も言いませんでした。
私はその表情を、「私に意地悪をして読まないんだ」と思ってしまいました。
「ねぇ、読んでよ!」
それでも、おテルさんは困った様な苦笑いを浮かべたまま、何も言いませんでした。
「どうして? どうして読んでくれないの?! このページだけで良いから。。。」
私は悔しいやら、悲しいやらで、だんだん腹が立ってきました。
それを見たおばあちゃんが、慌てて私の所に来て言いました。
「shobunoちゃん、おテルさんは読めないんだよ。ゴメンね。。。」
「え?! どうして??」
私はびっくりしました。何だ、それならば。。。
「じゃあ、ボクが教えてあげるから、一緒に読もうよ!」
おテルさんは、ちょっと悲しそうな顔をしました。。。
いくら教えても、おテルさんは文字を覚える事はできませんでした。
後で母から、おテルさんは生まれつき障害が有ること、
だから、いくら練習しても文字を読み書きすることは出来ないという事を
教えられました。
文字は読めなかったけれども、おテルさんは他のどの大人よりも優しくて、
楽しくて、面倒見が良くて、それからも変わりなく一緒に遊んでくれました。
私が中学生になって、なかなか帰省できなくなっても、
電話で色々話をしてくれたり、お小遣いを送ってくれたり、
いつも私の事を思ってくれていました。
最後におテルさんに会ったのは、10年以上前。。。
おばあちゃんが亡くなって、お葬式に行った時でした。
大勢の人がお葬式に集まってきて、
私も妻を連れて久々に富山の家に行ったのですが、
すっかり年を取ってしまったおテルさんは、大勢の中
何をしたら良いのか分からず、部屋のスミで小さくなっていました。
「shobunoですよ」
「ああ。。。shobunoちゃん! 大きくなったねぇ。。。」
不安そうな表情を浮かべていたおテルさんでしたが、
私を見てパッと明るい表情になったのを覚えています。。。
母から電話があり、おテルさんが先日亡くなった事を聞きました。
おテルさんは、私のひいおばあさんの産んだ最後の娘。
私の「大叔母」でした。
目をつむると、彼女の元気だった姿や声が鮮明に思い浮かびます。