天地明察を読みました。
いやぁ、面白かった。
江戸時代前期の囲碁棋士、天文暦学者である実在の人物
渋川春海(1639ー1715)の生涯を描いた物語でした。
代々続く囲碁打ちの名家に生まれ、囲碁の才能も有った彼ですが、
囲碁よりも、数学の魅力に取り憑かれていました。
神社に掲げる絵馬に数学の難問を書いて、その隣に別の人が解答を書く。
そんな事が行われていたのですかね。。。?
若き渋川春海は、その絵馬を見にわざわざ公務が始まる前の早朝に
神社に行き、そこで謎の数学の達人、関孝和を知ります。。。
才能を認められた彼は、周囲の人々の支えを受けて、古くなって
精度が落ちてきた日本の暦を改める大事業に乗り出します。。。
保科正之、水戸光圀、酒井忠清など、名前だけは聞いた事のある人物が登場し、
江戸初期の世界が生き生きと描かれています。
純粋で、学問にひたむきな好青年、読んでいて清々(すがすが)しくなります。
春海の奥さんになった女性(2人)も、それぞれ実に魅力的に描かれています。
史実なのですが、主人公の暦で日食の予知が外れて挫折するシーンも、
実にドラマチックに描かれています。
時代劇なのですが、軽いタッチでとても読みやすく、
それでいて品格のある文章。
読んだ後、爽やかな気分になれる一冊でした。
映画も観たいな。。。
(★★★★☆ 星4つ。お勧め)