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shobuno's blog

shobunoの日記です。日々見たこと、考えたこと、思い出した事などを興味の向くまま書いていきます。

リーダーになる (今はなき株式会社Mの物語 9/16)

「今はなき〜物語」もようやく後半に入ります。

ここまで、予定通りの題材を消化出来ていますので、

このペースで後半を描いて、予定通り16回で終えられると良いなぁと思います。

ちょっと文章長め、内容暗めですが(苦笑)もう暫くお付き合い頂けると嬉しいです。

 

 

 さて、2年生の頃のS主任のプロジェクトを何とか生き延びた私は、

次のプロジェクトに配属になりました。

 

 次のプロジェクトも社外で開発するプロジェクトでした。

お客さんは、某大手銀行。

そこで、基幹になるシステムを開発するというものでした。

大きなプロジェクトで、東京・大阪で200人以上の人々が開発に関わっていました。

株式会社Mのプロジェクトリーダーは、N主任でした。

年齢は私より10歳近く上の飄々(ひょうひょう)とした性格の人でした。

そうそう、私が入社した時に、

「研修がんばってね。。。多分もう会うことも無いと思うけど。。。」

と言った人でした。

メンバーは、3〜4年程先輩の2人でした。

 

私が入った初日、プロジェクトメンバーが集まって、ミーティングが開かれました。

 

(N主任)「今日から、プロジェクトに、あのshobuno社員が加わる事になった。

      shobuno社員のウワサは色々聞いていると思うが、何とか彼を支え、

      育てて、まっとうな仕事が出来る様にしたいと思う。

      彼の為にプロジェクト全体が大変になると思うが、

      みんなで努力してこの試練を乗り越えようと思う。」

(先輩H)「shobunoくんとは、彼が一年生の頃に一緒に仕事をした事があります。

      その時の印象は、良く気が付くし優秀だとさえ感じたものだった。

      どうしてこんなに悪い評判が立っているのか分からないが、

      あの時の私の印象を信じて、彼を育てたいと思う。」

 

ミーティングは重い空気に包まれていました。

メンバーのみんなは、何故か鎮痛な面持ちで、覚悟を新たにしている様な気がします。。。

 

。。。えっ?!(汗) 何これ?? 私って、そういうキャラ設定だったの。。。??

 

私は非常にビックリしました。

恐らく。。。恐らくですが、S主任からの強烈な「事前アナウンス」が有ったのでしょう。。。

私は神妙な面持ちで、

「どうか、よろしくご指導お願いします。。。」

とだけ述べました。。。

 

私の「悪評」は、幸い最初の一週間で吹き飛ばす事ができました。

初めての銀行業務システムは非常に興味深くて、すぐに夢中になりました。

現場のリーダーや、他社のサブリーダーとも仲良くなって、

業務や、開発のノウハウや、仕事の姿勢を吸収しました。

 

一年程の開発でしたが、プロジェクトが終わる頃には、

お客さんからもN主任からも信頼して貰える様になっていました。

(このプロジェクトでは、色々面白いエピソードが有ったのですが、

 本題から外れますので、涙を飲んで省略いたします。。。)

 

 

 N主任はこのプロジェクトの後に出世して、

東京の1/3をまとめるマネージャになりました。

私は、N主任に呼び出されました。

「shobunoくん、キミをプロジェクトリーダーに任命しようと思う。」

「えっ?! は、はい。 ありがとうございます。」

 

私が4年生の時でした。

業務は、客先で医療費の集計や、通知を行うシステムの開発でした。

メンバーは私の下に5人。いずれも研修アップして間もない若者でした。

 

今までずっと一番下のメンバーだったのに、いきなりリーダーとは。。。

でも、チャンスかも知れない。。。

私には、ある考えが有りました。

 

あのS主任から学んだ「リーダーの有るべき姿」を実践しよう。

 

プロジェクト初日。

客先のパーテションに仕切られた「株式会社Mエリア」で初のミーティングをしました。

メンバーの顔色を見ると、全員冴えない表情をしていました。

元気が無くて、顔色が悪くて、目が死んでいる感じ。

何か、私に対して怯えている様な印象も有りました。

 

ああ、これが私が初めて得た「部下」だ。。。

 

私は彼らに以下の事を伝えました。

・毎朝、ここでミーティングを行う

・ミーティングでは、各自の状況報告、私からの伝達、

 それから順番に3分程フリースピーチをしてもらう。

・各自の日毎のスケジュールを作ったので、これに従って作業をすること

・問題が有ればすぐに報告すること。

 

 

 初日のスケジュールは、軽めに設定していました。

終日、ほどんどみんな無言でプログラムを組んでいました。

定時頃になって、メンバーの様子を見て回ってみると、

大体みんな終わっている様でした。

でも、誰も帰ろうとしません。。。

 

(私) 「どんな感じ?」

(部下T)「今日の分は終わっています。今、明日の分に取りかかっている所です。」

(私) 「何故、明日の分をするの?」

(部下T)「自分の予定が終わったからと言って、一人帰って良いんですか?

     以前の上司から、今日の分が終わっても定時で帰ってはいけない

     と言われました。出来るだけ前詰めに作業するようにと。

     また、みんなが帰らないのに自分だけ先に帰ってはいけないとも

     教えられました。」

 

ああ、これではいけない。

これは、株式会社Mの決定的に悪い所だ。

これでは、組織の力を発揮できない。

多分、私がこれを変えなければいけないんだろう。。。

 

(私)「いいかい? みんなも聞いて。

    今まではそうだったかも知れないけれど、

    M社全体はそうなのかも知れないけど、

    ウチのプロジェクトだけは、変えようと思っている。

    きちんとスケジュールを引いて、毎日のマイルストーンを決めて、

    それを達成したら堂々と帰ればいい。

    スケジュール通り仕事をして、

    スケジュール通り終わるプロジェクトにしたいんだ。

    だから、問題が有ればすぐに報告して、すぐにみんなで解決しよう。

    問題を解決するために、新しい仕事をお願いする事もあるかも知れない。

    その時は協力して欲しいけど、そうでなければ自分のスケジュールで

    仕事する様にしよう。」

 

私が自覚的に「リーダー」になった瞬間でした。

みんな、ちょっと驚いた様な顔で私を見つめていました。

 

リーダーとなった私が密かに自分に課していた事は以下の通りです

・日毎、メンバー毎のスケジュールを明確にする。

・メンバーを酷使しない。出来る限り早く帰す。休ませる。

・メンバーの話はきちんと最後まで聞く

・メンバーと意見が食い違う場合は、トコトン話し合う。

・メンバーの意見の方が正しいと分かったら、すぐに自分の非を認める。

・特に悪い報告が上がって来た時は、解決まで責任をもって対処する。

 (問題が解決されないと、悪い報告は上がってこなくなる)

・リーダーは「チームを効率良く機能させる」事が業務であると自覚する。
 (立場が「上」とか「自分が偉い」とかではない)
 
 
 追加作業が大量に発生したため、プロジェクトの仕事量自体が大きかった事もあり、
かなりタイトなプロジェクトになりました。
 しかし、日毎のマイルストーンが常に明確だったので、みんなのモチベーションは
高い状態で保たれました。
 小さな問題でも上げれば、すぐに全部対応して貰えると分かると、
問題の報告も早くなり、効率的に問題がクリアできる様になりました。
 朝ミーティング(特にフリースピーチ)も、回を追う毎に充実してきて、
各メンバーが、普段どういう事を考えているのか、
どういう問題を抱えているのかを、みんなで共有する事が出来、
メンバー同士で助け合う姿も見られる様になりました。
 メンバー同士で信頼の感情が生まれ、誰かが失敗をした時、
それをプロジェクト全体の問題として捉えて、
自分がメンバーとして何ができるのかまで、
お互いに考える事ができる様になりました。。。
 
 最初は、業務中に殆ど会話がありませんでしたが、
次第に会話が増えてきて。。。
冗談を言い合ってみんなで爆笑とか出来る様になりました。
 
 会社に戻っても、私のプロジェクトメンバーだけが
表情が明るくて、会話が弾んでいる様子を見て、
上司達が首を捻っている様子を何度も見た覚えがあります。。。
 
 
そんな感じで、このチームは1年程続き、大成功の内に終了しました。
勿論、脱落したメンバーは一人も出しませんでした。
(この後も私のチームから退職者を出した事は一度も無かったりします。。。)
 
初めてのリーダー経験でしたが、確かな手応えを感じる事ができました。
 
 
(オマケ)
このプロジェクトの終わり頃、お客さんの所で会食パーティーがありました。
私達のチームは、専用のパーティションで仕切られていたので、
殆ど外部の人と接する事は無かったのですが、思いの外たくさんの人が、
出席しました。
パーティーも盛りのころ、一人の面識のない初老の方が、 
私に向かって歩いてきました。
「あなた、株式会社Mの方ですか?」
「え? あ、はい。そうですけど。。。」
「ああ! あなたが。。。 株式会社M、素晴らしいですね!!」
「。。。??」
「私、毎朝パーティションの外から、あなた方の会議を聞いていたんです。」
「えっ!?」
「本当に素晴らしかった。心が洗われる様でした。
 毎朝楽しみにしていたんですよ(笑)」
「ええっ!?」
「握手してください!」
「あ、はい。。。」
勢いに押されて、固い握手を交わしてしまいました(笑)
 
 
まさに壁に耳あり。。。デスね。