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shobuno's blog

shobunoの日記です。日々見たこと、考えたこと、思い出した事などを興味の向くまま書いていきます。

(最終回) 同じ空の下で。。。 (今はなき株式会社Mの物語 16/16)

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「青空のような心を持て」時々思い出す社長の言葉。

 

 

 株式会社Mが無くなってから、5年以上の月日が流れました。

まだ10年も経っていないんんだ。。。

あの頃の思い出は、もはや遥か昔の事の様な気がします。

 

 今から思えば、随分と強烈な会社でした。。。

某大手掲示板を見ると、「ブラック企業」としてその名を轟かせていました(笑)

確かにそう言われても仕方の無い面も有りました。

すさまじく厳しい新人研修、滅私奉公を強いられるストイックな社風、

リリースされれば絶対の上下関係、理不尽な命令。

深夜残業、休日出勤は当たり前の日々。。。

 

 

 私がMで生き残る事ができたのは、多分「妖精館」の経験のおかげです。

 

「組織」の本質は「人の集まり」です。

 

 会社もまた組織であって、「会社」というモノ(実体)は存在しません。

自分も株式会社Mの構成員である以上、自分もまた「会社」そのものであるということ。

そういう風に考える事が出来たから、私は「会社 対 個人」の罠に嵌る事なく、

厳しい状況の中、自分の気持ちを腐らせる事なく、

自分を(ちょっとだけ)変化させて会社に順応し、(手が届く範囲の)周囲の人々を

意図的に変えていく事で、自分がより生きやすい会社(組織)に変えて行く事ができました。

 

 

 周囲の人々を変えたと書きましたが、自分もまた随分と変化させられました。

私の場合、上司や同僚よりも部下から学ぶ事が非常に大きかったと思います。

部下の悩みを聞いて一緒に解決方法を考えたり、

部下の間違いを正そうとして、何故そうしてはいけないのかを一緒に考えたり、

部下から(私の)間違いを指摘されて、ハッとして考えを正したり。。。

そんな事を繰り返すうちに、自然と自分の考えも進歩した様な気がします。

部下達は私にとって、貴重な先生でした。

 

 

思い出に残る「先生達」を書いてみましょう。。。

 

 初めての部下のT君は、株式会社Mの毒にやられて深く傷ついていました。

1日のタスクを決めて定時までに終わったにも関わらず、帰れませんでした。

濁った目つきで、

「自分の予定が終わったからと言って、一人帰って良いんですか?

 以前上司から、今日の分が終わっても定時で帰ってはいけないと

 言われました。」と言いました。

私はこの習慣を、M社から取り除きたいと強く願いました。

これが私の「リーダー」出発点でした。

T君は他にも色々M社の上司から傷つけられていて、

長い時間をかけて話し合いをして、幾つかは取り除く事ができました。

 

 

 東大卒のS君は、理性的な人でした。

一見ぶっきらぼうで無愛想ですが、とても物事を良く考えている感じでした。

私は「長男の甚六」の典型で、苦労知らずで楽天的な所があります。

何か問題が起きても、

「えーい! 何とかなるさ!」

と余り考えずにやろうとしてしまう所が有るのですが、S君は部下のくせに(?)

「リーダー、ちょっと待って下さい。

 心配事一覧を作りました。これだけリスクが有ると思うのですが、

 どうお考えですか?」

という感じで良く待ったをかけられました。

読んでみると確かに。。。という感じで、

彼にはリスクマネージメントについて教えて頂きました。

(こっそり、彼のアダ名を「ミスタースポック」と名付けていました(笑))

彼のアパートの冷蔵庫には、醤油とお酒しか入っていないそうです。。。

 

 

 期待の新人で、元気が良すぎてあちこちのプロジェクトリーダから恐れ嫌われて、

私の所に来たT君。

彼は私に間違えが有ると思うと、肩を怒らせ私の机の横に立ちました。

「リーダー! お話が有ります!! リーダーは間違っていると思うんです!」

私はにっこり笑って、

「まあ、そこに座って。」

「あ、はい。。。(ちょっと勢いが衰える)

 リーダーがおっしゃった◯◯は、間違えだと思うんです。」

「どうして?」(にこにこ)

「えっと、◯◯が☓☓の時に。。。」

「でも、△△の時が有るじゃん。その時は?」

「あっ?! そうでしたか。。。確かに。。。」

 

10回に2回位は私の間違いも有って。。。

「あ、ごめん。そうだね。 じゃあ、こう直したらどうだろう?」

「はい! それで良いです! ありがとうございます。」

リーダー達から恐れ嫌われていたT君とは、

すっかり信頼関係が出来上がりました。

 

 

本編にも登場したU君。

「これからはオブジェクト思考の時代ですよ!」

とにかく彼は優秀で、私の部下で良いのかと思う程で、私に色々教えてくれました。

「M社はこういう所がダメですよね。そこを直さないと。。。」

「shobunoさんのソースは汚いですね。M社の社員とは思えませんね(笑)」

頭の回転も速いし、気遣いもできる。。。

彼の機転には、何度も舌を巻きました。

彼と私がいれば、きっとM社を大きく変える事ができると思っていたのですが、

残念ながら、M社崩壊の随分前に退職し、今では別の会社の重役らしいです。

 

 

M君は、大阪から来た部下でした。

体が大きくて、声が大きくて、大阪弁で、彼が来たその日からフロア全体が「大阪」の様になってしまいました(笑)

 一見強そうに見えた彼ですが、実は気が弱くて、お客さんの担当者(女性)を恐れていました。

悪い報告を上げなくてはいけないのに、怒られるのが怖くて、中々報告に行けずに、

彼女の姿をみると隠れたりしていました。

「お客さんに今の状況を報告しなさい。」

「。。。でも、どうしても彼女の顔を見る事ができません。」

「逃げる方向が違うよ。怖ければ怖いほど、近づいていかないと。

 遠ざかれば遠ざかる程、恐怖は大きくなるんだから。」

この言葉は、彼に言った言葉ですが。。。今でも自分に刺さってきます(苦笑)

 

 

 O君も東大卒。(M社は東大とか京大出身者が異様に多かったんです。)

私の部下でしたが、別の拠点を担当していました。

何でもすぐに理解し、仕事も速かったのですが、

経験が足りない事が唯一の弱点でした。(仕方ない事です)

トラブルが起こると、パニックになってしまい判断ができなくなったりしました。

「トラブったら、まず実務に発生する損害を把握しなさい。

 で、それを最小限にする方法を考えて、お客さんと一緒に解決しなさい。

 それ以外の事は取り敢えず放っておいて構わないから。」

 

 

 

 こうして書いていると、まだまだ色々な人々の顔が浮かび、声が聞こえてきますが、

この位にしましょう。。。

 

 会社は組織であり、組織の本質はそれを構成する個人一人一人の中に宿っています。

構成する人々が増えれば、会社(組織)は強くなり、

構成する人々が減れば、会社(組織)は弱くなる。

構成する人々がいなくなれば、会社(組織)は無くなります。

株式会社Mは、まさにそんな風にして無くなりました。

 

 空を見上げてみます。

 かつて株式会社Mそのものだった人々は、きっとみんなこの空の下で

それぞれの人生を送っている事でしょう。

(私も含めて)彼ら、株式会社Mを構成した人々は、今はバラバラになってしまい

もう決して1つ所に集まる事は無くなりました。

 

ありがとう、株式会社M。

ありがとう、みんな。

せめて、みんなの幸せを私は祈ります。

 

今はなき株式会社Mの物語 (完) 

 

 

(おまけ)

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一昨年の暮れに、研修生時代の寮(ワンルームマンション)の辺りを散策しました。

建物は有ったのですが、当時の苛烈過ぎた状況せいか記憶がハッキリせず、

ピンときませんでした。。。この建物が寮だった筈だけど。。。はて?

 

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この建物は、スーパーだった筈なのですが、

アウトレットの靴屋さんになっていました。

ここに美味しいたこ焼きの屋台が来ていたのですが。。。