土曜日の昼前、息子を英会話教室へ送って行こうとすると妻が、
「この前、自転車のブレーキが壊れちゃったんだよね。」
「んっ?」
「忙しくて、なかなか直しに行けないのよ。ついでに直してきて。」
「こういうのは、すぐに直さないと。。。」
自転車を見ると成程、前ブレーキのワイヤーが切れていました。
息子を送った後、早速草加の旧街道沿いにある、
頑固そうなおじいさんがやっている古い自転車屋さんに行きました。
「すみません、ブレーキが壊れてしまいまして。。。」
「どれどれ。。。ああ、これはブレーキのゴムもすり減っているよ。」
「じゃ、ついでに取り替えてください。。。」
おじいさんが、仕事を始めました。。。
うんうん。職人さんって感じで頼もしいな。。。
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私が、自転車の修理を急いだのには訳があります。
そう、あれは私が高校生だったころ。。。
私は北千住の先、町屋にある大きな熱帯魚屋「日本水族館」へ
自転車をこいでいました。
荒川土手を越えて、隅田川に向かう途中でした。
荒川の土手は高くなっているので、急な下り坂になっていました。
目の前に三叉路が急激に迫って来ましたので、
ちょっと速度を緩めようとして、ブレーキレバーを握った時。。。
「パンッ!」
と音がして、目の前に何かの破片が飛び散って行くのが見えました。
「?!」
自転車が急に加速しました。
慌ててブレーキレバーを握りましたが、両方共ペタペタと何の手応えも無く、
上下に動くだけ。。。
「ブレーキのワイヤーが切れた!?
しかも両方とも!?」
一瞬、周囲が暗くなった様な気がしました。。。
人間、命が危険になると頭の回転が上がると言いますが、
その時の私はまさにそれでした。。。
焦りまくりながら、周囲を色々チェックしました。
目の前は三叉路で、真っ直ぐ行けば車道に突っ込んでしまう。。。
左右の道路。。。どっちも歩行者用の信号は赤だ!
車道には、車がビュンビュン走っている。
トラックも走っている。
無意識に足を地面に付けて、自転車を止めようとしましたが、
スピードが付き過ぎていて止められない。。。
(20キロ以上出ていたと思います。)
こうなったら、転倒させるしかない。。。?
スピードが出ている自転車を転倒させる事って、意外に難しいものです。
(こういう時の為に、安全に転倒させる訓練って必要かも。。。)
そうこうする内にも、目の前に車道が迫ってきました。
も、もうムリかも。。。。
(現場です。)
諦めかけた時、車道と歩道の境にある白いポールが目に飛び込んできました。
私は夢中でそのポールに自転車を正面から衝突させました。
凄い衝撃がきましたが、何とか自転車を停止させる事に成功しました。
あのポールが無かったら、私は車道に飛び出していた事でしょう。
ひょっとしたら、あの時に私の一生は終わっていたかも知れません。。。
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自転車を押したおばちゃんが店にやってきました。
「ねぇ、空気入れたいんだけど、お金かかる?」
「いや。空気入れがそこに有るから、使っていいよ。」
「え〜、やり方が分かんないわよ。ねぇ、どうやれば良いの?」
「今仕事中だから、ちょっと待ってて。」
「わたし、急いでいるんだけど。。。」
それを見かねた私、この間の森林公園のレンタサイクルで
同じ様な空気入れを使ったので、出来るかも知れないと思い。。。
「私が入れましょうか?」
「そう? お客さんにやってもらって、悪いわねぇ〜」
思った通り、空気入れが作動して見る見る空気が入っていきます。
(お、面白い。。。!)
「お兄さんありがとう。助かったわぁ〜」
(お兄さんだと? (^_^;)
そう言うとおばちゃんは去っていきました。
「女はさあ、何でもやってもらおうとするんだから。。。
少しは自分でさせた方が良いんだよ。」
職人のおじいさんがつぶやいていました。
修理が終わり、元通り直った自転車に乗って家に帰りました。
町の職人のおじいさんとか、おばちゃんと交流できて、なんだか良い気分。。。
やっぱり、職人の人に直して貰うと安心出来るなぁ。。。
何て思いながら自転車をこいでいると、前輪から異音が。。。
「ん??」
良く調べてみると、新しく付けてもらったブレーキのゴムの付け方が甘くて
車輪と触れてしまって、変な音が出ています。。。
し、職人のおじいさん、ダメじゃん! (^_^;
仕方なく、家に帰ってから、自分で直しました。。。(笑)
おまけ(蛇足?)
自転車のブレーキのワイヤー切れは最悪の場合、命に関わる事故に繋がります。(マジで。)
調べてみると、定期的に替える事が推奨されている様です。
出来れば毎年替える事が理想らしいのですが、なかなか難しいでしょう。
これをご覧になられた方は、ちょっと自転車のチェックをしてみると
良いかも知れませんね。。。