(お題)「死ぬかと思った」瞬間の話
(夜のハナミズキ。iPhoneのカメラのクオリティの高さにびっくりです)
お題「これまで生きてきて「死ぬかと思った」瞬間はありますか?身体的なものでも精神的なものでも」
Hatena Blogのお題に↑のものがありました。
前にも書いたような気がするのですが、検索しても出てこなかったので「死ぬかと思った」瞬間の話でも。。。
あれはたぶん私が高校生の頃。
季節は確か冬でした。
自転車に乗って荒川を越えて、近くにある熱帯魚屋さんに向かっていました。
西新井橋を渡ったあと、急な下り坂をブレーキを使いながらまっすぐに下っていた時のことです。(地図の赤い矢印のあたり。)
私が通っていた道の先は三叉路になっていました。
目の前の車道には、トラックや乗用車が結構な勢いで列をなして走っていました。
ここを通る自転車は車道の手前で止まって、信号が青になったら渡る感じだったのです。
地図の赤い矢印の根本あたりで、「事件」は発生しました。
突然、目の前で
「パン!」
と音がして、白煙が上がりました。
一瞬何が起こったのか分かりませんでした。
両手で握っていたブレーキの金具が急に軽くなって、両手がスッと閉じました。
?!
ブレーキの故障か!?
自転車は急な坂道をどんどん加速して下って行きます。
反射的に両手を握ったり緩めたりしましたが、ブレーキの手応えがありません。
速度はどんどん上がって行きます。
目の前には、車の列が勢い良く流れていく様子が見えます。
両足を地面に付けて車体を止めようとしましたが、勢いづいた自転車の速度を緩める事はできません。
(多分時速20kmぐらい出ていたと思います。)
ま、まずい!!
このまま車道に突っ込んだら、死ぬ。。。かも??
何故か視界の周りが暗くなり、視野が狭くなり、目の前の映像が「白黒」に切り替わりまわりの音がスッと消えました。
周囲の動きがスローモーションになった様に見えました。
何故か恐怖は無く、意識が研ぎ澄まされたような感じがしました。
何か助かる方法は?
狭い道です。左はガードレール右は建物。
スペースが無くて、わざと転ぶことも出来ない。。
(スピードが出ている自転車を転ばせる事はかなり難しいです)
前は空いていて横断歩道が見えるけれども、そこに突っ込めば、車に突っ込む事になる。。
そうこうしているうちにも自転車は車道に向かって走り続けています。
両足で加速を食い止めようともしていましたが、速度を落とす事もできず、
このままでは、絶対に車道の前で止める事はできないでしょう。。
他に何か、
生き残る方法は無いのか。。。??
目の前は空いている。。。
あれ?
よく見ると、白いポールのようなものが立っています。
そうだ!
アレにぶつければ。。。?
それしか有りませんでした。
自転車をポールに向けて、思い切りぶつけました。
ガーン!!
とても強い初撃が来て、両腕に痛みが走りましたが、
なんとか車体を止める事ができました。
視界が元に戻り、ふっと色彩と音が戻ってきました。
周りは何事も無かったかのようです。
相変わらず、目の前に車がビュンビュン走っています。
急にどっと疲れに襲われました。
多分事故が発生してから、車体を止めるまで5秒ぐらいしか経っていなかった筈です。しかし体感時間はその何倍にも感じられました。
人間には、生命の危険を察知したとき脳が活性化される仕組みが組み込まれているそうです。
「タキサイア現象」と言うそうです。
そんな訳で、期せずして「タキサイア現象」を体験してしまったというお話でした。
「死」は、ありえない様な偶然が重なった時に、ぎょっとする程近くに存在するもの。。。なのかも知れません。